無料公開中個人事業の経営者が死亡・廃業するときの税務署手続き(相続・譲渡で引き継ぐ場合)
許認可の承継のあとに当たるのが、税務署への届出です。相続の場合の準確定申告(4か月)、青色申告の承認申請、消費税とインボイスの扱い、譲渡で手放す側の届出を、国税庁の公式ページから確かめた事項だけで整理しました。確認日は2026年10月12日です。 個別の税務判断はできません。
許認可の承継は税務署の手続きとは別の窓口・期限です。先に許認可の承継の期限の暦と手続き前チェックリストで、許認可側の期限を確認してください。
経営者が死亡したとき(相続で引き継ぐ場合)の税務署手続き
- 準確定申告(所得税)期限:相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内内容:1月1日から死亡日までの所得と税額を、相続人等が計算して申告・納税します。提出先は被相続人の死亡当時の納税地の税務署です。相続人等が2人以上いるときは連署で出し、別々に出す場合は他の相続人等へ内容を通知します。出典:国税庁 No.2022
- 所得税の青色申告承認申請書期限(被相続人が青色申告者):死亡日が1月1日から8月31日は死亡の日から4か月以内、9月1日から10月31日はその年の12月31日、11月1日から12月31日は翌年2月15日期限(被相続人が白色申告者):その年の1月16日以後に業務を承継した場合は、承継した日から2か月以内出典:国税庁 No.2070
- 個人事業の開業・廃業等届出書(相続人側の開業)期限:事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出も、事業を開始した日の属する年分の確定申告期限までです。出典:国税庁 No.2090
- 消費税の納税義務(免税事業者の相続人)相続があった年の基準期間の被相続人の課税売上高が1,000万円を超えると、相続の翌日からその年の12月31日まで納税義務は免除されません。翌年・翌々年は、被相続人と相続人の課税売上高の合計で判定します。被相続人が出した課税事業者選択届出書・課税期間特例選択届出書・簡易課税制度選択届出書の効力は相続人に及ばず、必要なら新たに提出します。出典:国税庁 No.6602
インボイス発行事業者だった場合
- 適格請求書発行事業者の死亡届出書被相続人が発行事業者のときに相続人が出します。発行事業者でない相続人が事業を承継したときは、承継した旨を書きます。被相続人が発行事業者でない場合は、別の「個人事業者の死亡届出書」を出します。
- みなし登録期間と登録申請相続のあった日の翌日から、相続人が登録を受けた日の前日または死亡日の翌日から4か月を経過する日のいずれか早い日まで、相続人は被相続人の登録番号でインボイスを交付できます。期間後も発行事業者でいるには、みなし登録期間中に登録申請書を出します。出典:国税庁 No.6602・インボイスFAQ 個人14
インボイス制度の負担軽減の期間は、国税庁の消費税の解説(No.6498、令和8年4月1日現在法令等・2026-10-14確認)で次のとおりです。2割特例は令和8年9月30日までの日の属する課税期間で終わっており、今から登録する人は使えません。小規模な個人事業者向けには、令和9年・令和10年の課税期間に納付税額を売上税額の3割とできる3割特例があります。免税事業者などからの仕入れについて仕入税額の一定割合(80パーセントから段階的に下がる割合)を控除できる経過措置は、令和13年9月30日までです。相続人や譲受人がこれらを使えるかは、免税事業者が登録を受けて課税事業者になったかなどの要件によるため、所轄の税務署または税理士に確認してください。
出典:国税庁 No.6498
譲渡・廃業で手放す側の届出
- 個人事業の開業・廃業等届出書期限:廃業した年分の所得税の確定申告期限まで
- 所得税の青色申告の取りやめ届出書対象:青色申告の承認を受けていた人。期限:取りやめようとする年の所得税の確定申告期限まで
- 消費税の事業廃止届出書対象:消費税の課税事業者。期限:速やかに出典:国税庁「廃業する場合」
個人事業を第三者へ譲渡したときの、譲渡側の所得税・消費税の計算や、譲受側のインボイスの扱いは、ここでは確認できた範囲に含めていません。税額の判断は税理士・所轄の税務署へ相談してください。譲渡と廃業の手取りの違いは3択の手取り比較シミュレーターで概算できます。
個人事業税・償却資産(固定資産税)の廃業・相続時の扱い
- 個人事業税の申告(年の途中で廃止したとき)期限:事業の廃止の日から1か月以内。廃止が納税義務者の死亡によるときは4か月以内所得税の確定申告や住民税の申告とは別に、個人の事業税の申告が必要とされています。事業を廃止した場合(死亡を含む)は、その年の1月1日から廃止の日までの所得に基づいて課税されます。出典:東京都主税局 個人事業税(2026-10-14確認)
- 個人事業税の納税義務(事業者が死亡したとき)個人の事業者が死亡した場合、個人事業税の納税義務は相続人に承継されると案内されています。出典:東京都主税局 個人事業税(2026-10-14確認)
- 償却資産(固定資産税)の課税と申告毎年1月1日(賦課期日)現在の所有者に課税されます。年の途中で廃業したり、1月2日以降に資産を譲渡したりしても、その年度の納税義務者と税額は変わらないと案内されています。廃業などで資産がすべてなくなった場合は、直近まで申告していた都税事務所へ全品減少の申告をし、申告書の備考欄に廃業日等を書くとされています。出典:東京都主税局 固定資産税(償却資産)Q&A 3-1・5-3・6-4(2026-10-14確認)
- 相続した償却資産の申告被相続人の取得年月、取得価額、耐用年数を引き継いで申告します。相続で共有になった場合は、持ち分で分けず、代表者を決めて共有名義で1枚の申告書を出します。出典:東京都主税局 固定資産税(償却資産)Q&A 3-2(2026-10-14確認)
上の事項は東京都主税局の案内で確かめたものです。個人事業税は都道府県、償却資産は市町村(東京23区は都)が扱い、申告先や書式、期限の細部は自治体で異なる場合があります。事業所のある自治体の税務窓口で確認してください。東京都以外の自治体の取り扱いは、ここでは確認していません。
帳簿書類の保存期間(青色・白色申告)
- 青色申告者の帳簿・書類原則7年間保存します。請求書・見積書・納品書・送り状などは5年間の保存でよいとされています。出典:国税庁 No.2070(令和8年4月1日現在法令等・2026-10-14確認)
- 白色申告者の帳簿・書類収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)は7年間、それ以外の帳簿、棚卸表などの決算関係書類、請求書・領収書などの書類は5年間です。保存場所は住所地や事業所などの所在地とされています。出典:国税庁 No.2080(令和8年4月1日現在法令等・2026-10-14確認)
事業をやめた後や相続のあとの保存義務の扱い(保存を続ける人、保存期間の数え始め)は、上の国税庁ページでは確認できていないため、ここでは書いていません。廃業・相続のあとに帳簿書類を処分する前に、所轄の税務署または税理士へ確認してください。
よくある質問
- 個人事業主が亡くなったとき、相続人が最初に税務署へ出す申告は何ですか?準確定申告です。1月1日から死亡日までの所得と税額を計算し、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内に、被相続人の死亡当時の納税地の税務署へ申告と納税をします。相続人が2人以上いるときは連署で出すのが原則です。出典:国税庁 タックスアンサー No.2022(令和8年4月1日現在法令等)
- 亡くなった人が青色申告だったとき、相続人の青色申告承認申請はいつまでですか?死亡日が1月1日から8月31日なら死亡の日から4か月以内、9月1日から10月31日ならその年の12月31日、11月1日から12月31日なら翌年2月15日です。被相続人が白色申告だった場合は、その年の1月16日以後に業務を承継したときに、承継した日から2か月以内です。出典:国税庁 タックスアンサー No.2070(令和8年4月1日現在法令等)
- 亡くなった人の消費税の免税は、相続人にもそのまま引き継がれますか?そのままは引き継がれません。相続人が免税事業者でも、相続があった年の基準期間における被相続人の課税売上高が1,000万円を超えていれば、相続の翌日からその年の12月31日まで納税義務は免除されません。被相続人が出した課税事業者選択届出書や簡易課税制度選択届出書の効力も、相続人には及びません。出典:国税庁 タックスアンサー No.6602(令和8年4月1日現在法令等)
- 被相続人がインボイス発行事業者だったとき、相続人は何を出しますか?「適格請求書発行事業者の死亡届出書」を出します。相続人が発行事業者でない場合は、事業を承継した旨を書くと、相続の翌日から4か月を経過する日までなどのみなし登録期間に、被相続人の登録番号でインボイスを交付できます。期間後も発行事業者でいるには、みなし登録期間中に登録申請書を出します。出典:国税庁 インボイス制度 FAQ 個人14、死亡届出書の記載要領参考資料
- 事業を第三者へ譲渡して廃業する側は、税務署へ何を出しますか?個人事業の開業・廃業等届出書(廃業した年分の確定申告期限まで)が基本です。青色申告だった人は所得税の青色申告の取りやめ届出書(取りやめる年の確定申告期限まで)、消費税の課税事業者は事業廃止届出書(速やかに)も案内されています。出典:国税庁「廃業する場合」
- 事業を途中でやめたり、亡くなったりしたとき、個人事業税の申告はいつまでですか?東京都主税局の案内では、年の途中で事業を廃止した場合、廃止の日から1か月以内(納税義務者の死亡による廃止は4か月以内)に、所得税の確定申告や住民税の申告とは別に個人の事業税の申告が必要です。納税義務は相続人に承継されます。他の道府県の細部は、事業所のある都道府県の窓口で確認してください。出典:東京都主税局 個人事業税(2026-10-14確認)
- 年の途中で廃業すると、その年の償却資産の固定資産税は変わりますか?東京都主税局の案内では、償却資産は1月1日現在の所有者に課税されるため、年の途中で資産を所有しなくなっても、その年度の税額は変わりません。資産がすべてなくなった場合は、直近まで申告していた都税事務所へ全品減少の申告をします。出典:東京都主税局 固定資産税(償却資産)Q&A(2026-10-14確認)
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