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廃業時の従業員への手続き:解雇予告30日・予告手当・離職票

廃業すると従業員との労働契約も終わります。2026年10月15日にe-Gov法令検索で労働基準法と雇用保険法施行規則の原文を確認し、解雇予告30日前と予告手当、退職時の証明、賃金の7日以内の支払、離職票のための10日以内の届出を整理しました。廃業の手取りを比べるときの人件費の前提に使えます。

ここでは条文と厚生労働省系の案内の整理にとどめ、個別の判断はしません。解雇予告手当の税の扱い、社会保険の手続き、失業給付の金額は扱いません。実際の手続きは、管轄の労働基準監督署・公共職業安定所・社会保険労務士にご確認ください。

従業員を解雇して廃業するときの手続き(9件)

  1. 解雇の予告:少なくとも30日前に予告。しない場合は30日分以上の平均賃金を支払う
    労働者を解雇するときは、少なくとも30日前に予告します。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。厚生労働省系の案内では、予告の翌日から数えて30日後が解雇日になるよう行い、口頭でも文書でもよいが文書が望ましいとされています。予告をまったくしない即時解雇や、30日に満たない予告では、予告手当の支払いが必要です。
    根拠:労働基準法第20条第1項
  2. 予告の日数を短くする:1日につき平均賃金を払えば、その日数ぶん予告を短縮できる
    予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合には、その日数を短縮できます。たとえば平均賃金が日額1万円なら、予告を20日前にした場合は不足の10日分(10万円)を払う計算になります(金額は説明のための例で、実際の平均賃金は第12条で算定します)。
    根拠:労働基準法第20条第2項
  3. 平均賃金の出し方:算定事由の発生した日以前3か月間の賃金総額を、その期間の総日数で割る
    平均賃金は、算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で割った金額です。日給や時給、出来高払いの人には、賃金総額を労働した日数で割った額の100分の60を下回れないという最低保障があります。賃金締切日があるときは、直前の締切日から数えます。
    根拠:労働基準法第12条第1項
  4. 廃業は予告をなくせる理由になるか:経営の見通しの誤りや税の滞納処分での廃業は、予告を要しない事由に当たらない例とされる
    天災事変その他やむを得ない事由で事業の継続が不可能になり、労働基準監督署長の認定を受けたときは、予告をしなくても解雇できます。ただしこの「やむを得ない事由」は、天災事変に準じる不可抗力で突発的な事由とされ、岩手労働局が示す認定の考え方では、事業経営上の見通しの齟齬から資材や資金の調達に行き詰まった場合や、税金の滞納処分を受けて事業廃止に至った場合は当たらないと例示されています。自主的な廃業で予告を省けるとは言えません。
    根拠:労働基準法第20条第1項ただし書、岩手労働局の案内
  5. 解雇できない期間:業務上の療養で休業する期間とその後30日、産前産後の休業期間とその後30日
    労働者が業務上のけがや病気の療養のため休業する期間とその後30日間、産前産後の女性が休業する期間とその後30日間は、解雇してはならないとされています。ただし打切補償を支払う場合や、天災事変その他やむを得ない事由で事業の継続が不可能となり行政官庁の認定を受けた場合は例外です。廃業の日程を決めるとき、これに当たる従業員がいないかを確かめます。
    根拠:労働基準法第19条第1項
  6. 退職時の証明書:請求があれば遅滞なく交付。解雇の予告後は解雇理由の証明書も
    労働者が退職のときに使用期間、業務の種類、事業での地位、賃金、退職の事由(解雇の場合はその理由を含む)について証明書を請求したときは、使用者は遅滞なく交付します。解雇の予告がされた日から退職の日までの間に、解雇の理由の証明書を請求された場合も、遅滞なく交付します。日数の定めはなく「遅滞なく」です。請求していない事項は書けません。
    根拠:労働基準法第22条第1項・第2項
  7. 最後の賃金と預り金:退職の場合、権利者の請求から7日以内に賃金を払い、積立金・保証金などを返す
    労働者の退職や死亡の場合に権利者から請求があったときは、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金など名称を問わず労働者の権利に属する金品を返還します。金額に争いがあるときは、異議のない部分をその期間内に払います。通常の賃金の支払日が先でも、請求があれば7日以内となる点が、廃業時の資金繰りに響きます。
    根拠:労働基準法第23条第1項・第2項
  8. 離職票のための届出:資格喪失届は離職の翌日から10日以内。離職票は希望しない人は省略可(59歳以上は除く)
    事業主は、雇用する労働者が被保険者でなくなったときは、その事実のあった日の翌日から起算して10日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届を管轄の公共職業安定所長に出します。離職の場合は離職証明書を添えます。本人が離職票の交付を希望しないときは添えなくてよいとされますが、離職の日に59歳以上の人は除かれます。資格喪失届に離職証明書を添えて出していない場合に、本人から離職票の交付のため求められたときは、離職証明書を交付します。
    根拠:雇用保険法施行規則第7条第1項・第3項、第16条
  9. 守らなかったとき:解雇予告違反などは6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。裁判所が同額の付加金を命じることがある
    解雇の予告(第20条)に違反した使用者は、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象とされています。また、第20条に違反して予告手当を払わなかった場合、裁判所は労働者の請求により、未払金のほかこれと同一額の付加金の支払を命じることができます。
    根拠:労働基準法第119条第1号・第114条

よくある質問

  1. 廃業を決めたら、いつまでに従業員へ伝えれば予告手当がかからない?
    解雇日の少なくとも30日前までに予告すれば、予告手当は不要です。予告が30日に満たない分は、1日につき平均賃金を払うことで短縮できます。たとえば廃業日の45日前に伝えれば手当は要らず、20日前なら不足の10日分が必要になる計算です。
    出典:労働基準法第20条第1項・第2項(e-Gov法令検索、2026-10-15取得)
  2. 廃業は『やむを得ない事由』だから、予告なしで解雇できる?
    できると断定はできません。やむを得ない事由は天災事変に準じる不可抗力で突発的なものとされ、事業経営上の見通しの誤りや、税の滞納処分を受けての事業廃止は当たらない例とされています。認定は労働基準監督署長が行うため、予告を省く前に管轄の労働基準監督署へ相談してください。
    出典:労働基準法第20条第1項ただし書、岩手労働局「解雇予告除外認定申請について」(2026-10-15確認)
  3. 最後の給料はいつ払えばよい?
    通常の支払日が先でも、退職した労働者から請求があれば7日以内に賃金を払う必要があります。積立金や保証金など労働者の権利に属する金品も同じ期間内に返します。金額に争いがあるときは、異議のない部分を先に払います。
    出典:労働基準法第23条(e-Gov法令検索、2026-10-15取得)
  4. 離職票はいつまでに出す?
    事業主が出すのは資格喪失届で、離職の翌日から10日以内に管轄の公共職業安定所長へ提出します。離職票の交付を希望する人は、離職証明書を添えます。希望しない人は添えなくてよいとされますが、離職の日に59歳以上の人は除かれます。
    出典:雇用保険法施行規則第7条第1項・第3項(e-Gov法令検索、2026-10-15取得)
  5. 事業譲渡で従業員を引き継ぐ場合も、解雇予告は必要?
    このページは廃業で労働契約が終わる場合の整理です。事業譲渡で従業員が譲受先へ移る場合の労働契約の扱いは、別ページで確認してください。
    出典:このサイトの別ページ(労務の引継ぎ)

確認できていないもの

解雇予告手当を支払ったときの税の扱い、退職金や就業規則に定めた手当の扱い、社会保険(健康保険・厚生年金)の資格喪失の期限、整理解雇の有効性の個別判断は、今回確認していません。事業を譲って従業員が移る場合は労務の引継ぎ、個人事業主本人の国民年金・国民健康保険は廃業後の国民健康保険・国民年金を確認してください。就業規則に退職金の定めがある場合の算定式や支払時期の読み方は、退職金相場ラボの退職金規程の読み方で確認できます。

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