無料公開中事業用資産を従業員が買い取るときの税金
個人事業主が機械や建物などを従業員に売り、従業員が事業を引き継ぐ場合に、売る側と買う側でどの税金が関わるかを、国税庁のタックスアンサーで確認しました。確認日は2026年10月14日です。 売却額の決め方や税額の試算は資料の範囲を超えるため載せていません。
売る側:事業用資産の売却は譲渡所得が中心
譲渡所得の対象になる資産には、土地、建物、機械器具などが含まれます。貸付金や売掛金などの金銭債権は除かれます。 譲渡は、売買のほか交換や現物出資なども含み、有償無償を問いません。
| 売る資産 | 所得の区分・課税方法 |
|---|---|
| 土地・建物 | 譲渡所得。分離課税(土地建物等) |
| 機械器具などその他の資産 | 譲渡所得。総合課税(ほかの所得と合計して累進税率) |
| 棚卸資産(商品・原材料など) | 譲渡所得ではなく事業所得 |
| 取得価額10万円未満などの少額の減価償却資産 | 譲渡所得ではなく事業所得または雑所得(業務の性質上基本的に重要なものを除く) |
| 売掛金・貸付金 | 譲渡所得の対象外 |
買う側:取得した資産は減価償却で経費にする
従業員が事業用に買い取った機械や建物は、減価償却資産として、取得に要した金額を使用可能期間にわたって分割して必要経費にします。土地は時の経過で価値が減らないため、減価償却資産ではありません。 買い取る機械が事業承継・M&A補助金などで取得したものなら、売買の前に財産処分の承認が要るかの確認が先になります。 償却の方法は定額法と定率法があり、定額法は毎年ほぼ同額、定率法は初めの年ほど多くなります。年の途中で取得した場合は、使った月数に応じた金額になります。
- 使用可能期間が1年未満、または取得価額が10万円未満:全額をその年の必要経費にする
- 取得価額が10万円以上20万円未満:一定の要件で、一括して3分の1ずつ3年間で必要経費にできる
- 一定の要件を満たす青色申告者:令和11年3月31日までに取得した取得価額10万円以上40万円未満のもの(令和8年3月31日までの取得は30万円未満)を、合計300万円まで取得した年に必要経費にできる特例
中古の資産は、法定耐用年数ではなく、使い始めてからの使用可能期間の見積年数で償却できます。見積もりが難しい場合の簡便法は、法定耐用年数をすべて過ぎた資産なら法定耐用年数の20パーセントの年数、一部を過ぎた資産なら「法定耐用年数から経過年数を引いた年数+経過年数の20パーセント」です。 事業に使うための資本的支出が取得価額の50パーセントを超える場合は、簡便法を使えません。国税庁のこの説明は法人税のタックスアンサーにあります。
消費税:売る側が課税事業者かで変わる
消費税は、事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等が課税の対象です。ただし、土地の譲渡と、売掛金などの金銭債権の譲渡は非課税取引です。 売る側の個人事業主は、基準期間(その年の前々年)の課税売上高が1,000万円以下なら原則として納税義務が免除されますが、適格請求書発行事業者の登録を受けている場合などは免除されません。 買う側の取得価額の判定では、消費税を含めるかは税込経理か税抜経理かによります。免税事業者の経理方式は税込経理です。
よくある質問
- 売掛金も従業員に売ると、譲渡所得になりますか?譲渡所得の対象になる資産から、貸付金や売掛金などの金銭債権は除かれています。機械器具や建物は対象に含まれます。売掛金をどう扱うかは、税務署か税理士に確認してください。出典:国税庁 No.3105(2026年10月14日確認)
- 買い取った機械は、買った年に全額を経費にできますか?原則はできません。減価償却資産は、使用可能期間にわたって分割して必要経費にします。例外は、使用可能期間が1年未満のものや取得価額が10万円未満のもの(全額を業務に使った年の必要経費)などです。出典:国税庁 No.2100
- 中古の機械は、新品と同じ耐用年数で償却しますか?中古資産は、法定耐用年数ではなく、事業に使い始めた時からの使用可能期間の見積年数によることができます。見積もりが難しい場合は簡便法があります。国税庁の説明は法人税のページにあるため、個人事業主の取扱いは税務署で確認してください。出典:国税庁 No.5404