相続・事業譲渡の資産手続き
事業用車両・機械設備の名義変更と償却資産申告
個人事業の車両や機械設備を引き継ぐときは、資産の種類ごとに手続先が異なります。登録自動車は運輸支局等、軽自動車は軽自動車検査協会、償却資産に当たる機械設備は資産所在地の市区町村で確認します。
最初に分ける3種類
車両と設備をまとめて「名義変更」と考えず、車検証がある車両か、固定資産税の償却資産申告をする設備かを先に分けます。登録自動車と軽自動車でも、申請先と書類が異なります。
| 資産 | 主な手続き | 手続先 | 時期の確認 |
|---|---|---|---|
| 登録自動車 | 移転登録 | 管轄の運輸支局等 | 所有者の変更から15日以内 |
| 軽自動車 | 名義変更 | 新しい使用の本拠(車を使う拠点)を管轄する軽自動車検査協会の事務所・支所 | 譲渡・相続で所有者が変わるとき |
| 機械・器具・備品 | 固定資産税の償却資産申告 | 資産所在地の市区町村 | 原則、毎年1月1日の所有状況を1月31日までに申告 |
登録自動車の移転登録
- 車検証の所有者欄を先に確認する相続手続きをするのは、車検証の所有者が亡くなった個人事業主本人である場合です。ローンやリースで第三者が所有者になっている車は、事業主の死亡だけでは車両の相続になりません。使用者欄だけで判断せず、所有者欄を確認します。出典:関東運輸局「単独相続(相続人のうち一人が相続する場合)」(2026-10-13確認)
- 所有者が変わった日から15日以内に申請する道路運送車両法第13条は、所有者の変更があったときに、新しい所有者が事由の発生日から15日以内に移転登録を申請すると定めています。事業譲渡という名称の専用登録ではなく、車両の所有権を譲り受けたときの移転登録として進めます。出典:道路運送車両法第13条(e-Gov法令検索)、北陸信越運輸局「移転登録(名義変更)」(2026-10-13確認)
- 相続と事業譲渡で証明書類を分ける売買・譲渡では、車検証、旧所有者の譲渡証明書、旧所有者と新所有者の印鑑証明書などを確認します。相続では、死亡と相続人全員を確認できる戸籍謄本等または法定相続情報証明書、遺産分割協議書などが確認対象です。代理申請や、使用者と所有者が異なる場合は追加書類が必要です。管轄が変わる場合は、車両の持込みも必要になることがあります。出典:北陸信越運輸局「移転登録(名義変更)」、関東運輸局「単独相続(相続人のうち一人が相続する場合)」(2026-10-13確認)
軽自動車の名義変更
軽自動車は、登録自動車の運輸支局ではなく、新しい使用者の使用の本拠を管轄する軽自動車検査協会の事務所・支所で手続きします。売買・譲渡だけでなく、所有者が亡くなって相続人へ移す場合も名義変更が必要です。
- 車検証と新しい使用者の住所証明を用意する基本書類は車検証原本と自動車検査証変更記録申請書です。使用者または使用者の住所が変わる場合、個人は発行から3か月以内の住民票または印鑑証明書を確認します。管轄が変わる場合はナンバープレートも必要です。
- 相続では死亡と相続人であることを証明する戸籍謄本等または法定相続情報一覧図で、旧所有者の死亡と新しい所有者が相続人であることを確認します。軽自動車検査協会は、死亡診断書は原則として確認書面にならないと案内しています。
- 税申告と事業用車両の届出を別に確認する名義変更の申請とは別に、軽自動車税の申告や地域による車庫の届出が必要な場合があります。黒ナンバーの事業用軽自動車は、使用者変更などで事業用自動車等連絡書も確認します。
出典:軽自動車検査協会「名義変更(売買・譲渡・その他)」(2026-10-13確認)
機械設備の償却資産申告
このページでは、固定資産税の償却資産(機械・器具・備品などの事業用資産)に当たる設備の申告を確認します。毎年1月1日の所有者が、資産所在地の市区町村へ原則1月31日までに申告します。
- 相続人は取得年月・取得価額・耐用年数を引き継いで申告する横浜市の公式案内では、相続人が被相続人の取得年月、取得価額、耐用年数を引き継いで申告します。遺産分割が終わっていない場合は、法定相続人全員の共有資産として代表者を決め、相続発生日や相続人の情報を備考欄へ記載する扱いです。出典:横浜市「固定資産税(償却資産)に関するよくある御質問」(2026-10-13確認)
- 前年中に譲渡した設備を、次の申告で増減資産として整理する横浜市の申告書記入案内は、前年度の申告と比べて前年中に資産が増減した場合、減少事由の「売却」と増加事由の「中古品取得」を記入区分として示しています。固定資産税は1月1日現在の所有者がその年度の納税義務者になるため、事業譲渡の時期と次の1月1日を確認し、具体的な記載方法を資産所在地の市区町村へ確認します。出典:横浜市「償却資産申告書等の記入方法に関する質問集」(2026-10-13確認)
- 普通車・軽自動車は償却資産申告から外す自動車税または軽自動車税の対象となる普通車・軽自動車・小型特殊自動車などは、固定資産税の償却資産申告の対象外です。大型特殊自動車は対象です。ここでの区分は固定資産税の申告であり、所得税の減価償却とは別に考えます。出典:横浜市「固定資産税(償却資産)に関するよくある御質問」(2026-10-13確認)
このページで扱わないこと
このページは、車両の所有者変更と機械設備の償却資産申告を整理したものです。車両や設備の譲渡価額、相続税・所得税・消費税の扱い、事業譲渡契約の有効性は判定しません。必要書類や自治体の様式は状況・地域で異なるため、申請前に管轄窓口の最新案内を確認してください。
よくある質問
- 相続した車は、遺産分割協議書だけで名義変更できる?遺産分割協議書だけでは足りません。登録自動車では、有効な車検証、死亡と相続人全員を確認できる戸籍謄本等または法定相続情報証明書、相続人の印鑑証明書なども確認対象です。法定相続人そのものが1人しかいない場合は、遺産分割の書類は不要と案内されています。出典:関東運輸局「単独相続(相続人のうち一人が相続する場合)」(2026-10-13確認)
- 普通車や軽自動車も、市区町村へ償却資産として申告する?自動車税または軽自動車税の対象になる普通車・軽自動車・小型特殊自動車などは、固定資産税の償却資産申告の対象外です。大型特殊自動車は対象です。所得税の減価償却とは別の区分なので、混同しないようにします。出典:横浜市「固定資産税(償却資産)に関するよくある御質問」(2026-10-13確認)
- 黒ナンバーの軽自動車は、車検証の名義変更だけでよい?軽自動車検査協会は、事業用軽自動車の使用者変更などでは事業用自動車等連絡書が必要と案内しています。車両の名義変更と、貨物軽自動車運送事業の届出は別に確認してください。出典:軽自動車検査協会「名義変更(売買・譲渡・その他)」(2026-10-13確認)
同じ時期に確認する手続き
事業用の店舗・工場等の相続登記
不動産を相続したときの申請義務と期限を確認
店舗の賃貸借・リース契約の承継
車両・設備がリースの場合に、契約書と相手方の承諾を確認
貨物軽自動車運送事業の届出
黒ナンバーの車両名義とは別に、事業者の死亡・事業譲渡時の届出を確認
事業承継前の許認可チェックリスト
資産以外の許可・登録・届出も同じ時期に確認
制度根拠と確認日は 一次情報台帳に記録しています。このページには入力欄・会員登録・課金機能はありません。