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診療所・薬局の保険医療機関の指定は、相続・事業譲渡で引き継げるか

診療報酬を請求するには、病院・診療所・薬局が健康保険法にもとづく指定を受ける必要があります。2026年10月15日に条文と関東信越厚生局の案内を確認したところ、指定を引き継ぐ規定は見つからず、開設者が変わると新しい開設者が新たに指定を受ける整理でした。

ここでは条文と関東信越厚生局の案内の整理にとどめ、個別の判断はしません。取扱いは地方厚生局ごとに運用が異なる場合があるため、実際の申請は診療所・薬局の所在地を管轄する厚生局の案内を優先してください。

保険医療機関・保険薬局の指定について確認できたもの(7件)

  1. 指定は誰が受けているか:厚生労働大臣の指定。病院・診療所・薬局の開設者の申請で行う
    健康保険で診察や薬の給付を受けられるのは、厚生労働大臣の指定を受けた病院・診療所(保険医療機関)と薬局(保険薬局)です。指定は、病院・診療所・薬局の開設者の申請により行います。医療法の開設届や薬機法の開設許可とは別の手続きです。
    根拠:健康保険法第63条第3項第1号・第65条第1項
  2. 指定を引き継ぐ規定:承継・相続・事業譲渡で指定を引き継ぐ規定は見つからない
    指定の申請、指定をしない場合、辞退、取消しを定めた第65条から第80条までを確認しましたが、指定を相続人や譲受人に引き継ぐ規定は見当たりませんでした。
    根拠:健康保険法第63条〜第80条
  3. 開設者が変わるとき:それまでの医療機関・薬局は廃止され、新しい開設者が新たに開設する扱い
    関東信越厚生局は、開設者が変更になる場合は、それまでの医療機関・薬局は廃止され、新たな開設者が医療機関・薬局を開設することになると案内しています。したがって新しい開設者が新たに指定を申請し、元の開設者側は廃止の届出を出します(開設者の死亡、病気等のため血族その他の者が引き続いて開設者となる場合、経営譲渡や合併の場合を含むと同厚生局は説明)。
    根拠:関東信越厚生局「よくあるご質問」Q2-12・Q2-7
  4. 指定日と遡及:指定は原則、締切日までの申請の翌月1日。患者が引き続き受診している場合などに限り例外的に遡及
    毎月の締切日までに受け付けた申請は、地方社会保険医療協議会への諮問を経て、原則として翌月1日付で指定されます。例外として、開設者変更で前の開設者の廃止と同時に引き続いて開設され患者が引き続き診療を受けているとき、個人と法人の間の変更、病院と診療所の変更、至近の距離への移転の4つに該当し、第三者の権利関係に不利益を与えるおそれがないと認められる場合は、指定日を遡れます。遡及を求める場合は、廃止・休止・再開届と指定申請書を出し、事前に都県の事務所へ相談するよう案内されています。
    根拠:関東信越厚生局「よくあるご質問」Q2-6〜Q2-8
  5. 遡及指定の取扱い(令和8年9月1日以降):開設者死亡等・開設者のみの変更等・その他の3類型で必要な書類が違う
    令和8年9月1日以降は、通知に基づき3類型で扱われます。「開設者死亡等」は個人開設の場合に限り、開設者の死亡・病気等で血族その他勤務する保険医等が引き続き開設者となって職員と診療録・調剤録を引き継ぎ、緊急で申請する場合です。「至近の距離(同一都道府県内で直線距離2km以内)への移転」や「開設者のみの変更」で要件を満たす場合は別紙の提出が加わります。それ以外(所在地移転と開設者変更の同時など)は、原則として希望日の3か月前までの予定届出書と事前相談が必要です。判断基準の細部は通知抜粋でご確認ください。
    根拠:関東信越厚生局「保険医療機関等の遡及指定及び機能移転の取扱いについて」(令和8年6月5日保医発0605第2号)
  6. やめるとき:指定の辞退は一月以上の予告期間。廃止したときは廃止・休止・再開届
    保険医療機関・保険薬局は、一月以上の予告期間を設けて指定を辞退できます。指定を受けた医療機関・薬局を廃止、休止、再開したときは、保健所への届出とは別に、厚生局へ「保険医療機関・保険薬局廃止・休止・再開届」を出します。
    根拠:健康保険法第79条第1項・関東信越厚生局Q2-11
  7. 指定が認められない場合:取消しから5年未経過、開設者・管理者の刑、社会保険料の滞納処分など
    厚生労働大臣は、申請に係る病院・診療所・薬局が指定の取消しの日から5年を経過していない場合、開設者や管理者が罰金や拘禁刑以上の刑の執行を終えていない場合、社会保険料の滞納処分を受けて正当な理由なく3か月以上滞納している場合などに、指定をしないことができます。引き継ぐ人が新たに開設者になる以上、この審査は新しい開設者に対して行われます。
    根拠:健康保険法第65条第3項

よくある質問

  1. 診療所の院長が亡くなったとき、子が継げば保険医療機関の指定もそのまま使える?
    健康保険法に指定を引き継ぐ規定は見つからず、関東信越厚生局は、開設者が変わるとそれまでの医療機関は廃止され新たな開設者が開設する扱いと案内しています。子が続けるには、新しい開設者として指定を申請し、元の開設者側は廃止の届出を出す整理です。緊急の場合に指定日を遡れる扱いは、個人開設者に限る類型として通知に定められています。
    出典:健康保険法第65条第1項、関東信越厚生局よくあるご質問Q2-7・Q2-12、遡及指定の取扱い(2026-10-15確認)
  2. 診療所や薬局を事業譲渡で売ると、指定も買い手に移る?
    移る規定は見つかりません。買い手が新たな開設者として指定を受けます。経営譲渡で引き続き開設する場合も、患者が継続して診療を受けているなどの条件を満たせば遡及指定の対象になり得ると同厚生局は説明しています。買い手の開設の手続きと指定日は、譲渡の日程を決める前に管轄の厚生局へ相談してください。
    出典:関東信越厚生局よくあるご質問Q2-7(経営譲渡・合併の例示)
  3. 個人の診療所を法人化するときも新規指定になる?
    個人から法人への変更も開設者の変更にあたります。同厚生局は、開設者が個人から法人組織へ変わる場合を遡及指定の対象の1つに挙げています。法人化のたびに指定の手続きが必要か、書類は何かは、管轄の厚生局にご確認ください。
    出典:関東信越厚生局よくあるご質問Q2-7(2)、遡及指定の取扱い
  4. 廃止の届出は何日以内?
    今回確認した関東信越厚生局の案内には、廃止・休止・再開届の日数が見当たりませんでしたので記載しません。指定の辞退は、健康保険法第79条第1項で一月以上の予告期間を設けるとされています。
    出典:健康保険法第79条第1項、関東信越厚生局よくあるご質問Q2-11

確認できていないもの

遡及指定が認められる具体的な要件(通知抜粋の中身)、廃止届の提出期限、他の地方厚生局の運用差、承継後の診療報酬の請求や施設基準の届出の引継ぎは、今回確認していません。診療所や助産所そのものの届出は個人診療所の開設者が亡くなったときの届出、薬局の許可は薬局開設許可の相続・事業譲渡で確認できます。事業全体の手取り比較はトップページを確認してください。

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